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大好きなお酒と上手につき合う!いつまでも健康に美味しく飲むために

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食事と一緒にビールやワインなどを楽しんだり、お休み前に晩酌をしたりと、普段からお酒を楽しんでいらっしゃる方でも、どこかで「ずっとこのまま健康でいられるかどうか?」については気になっているのではないでしょうか? 健康を考えればお酒をやめるのが一番。ですが、分かっていてもなかなか簡単にはいかないもの。今回は、健康を保ちつつ長くお酒を楽しむために気をつけたいことをまとめました。

飲酒の「適量」は守れていますか?

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ご存知の方も多いと思いますが、すでに厚生労働省が具体的な数値とともに、「節度ある適度な飲酒」のガイドラインを発表しています。その数値とは、「1日に純アルコールで20g程度」とあります。

このアルコール20gというのは、実際のお酒ではどのくらいになるかというと…
・ビール 中びん1本
・日本酒 1合
・酎ハイ(7%) 350mL缶1本
・ウィスキー ダブル1杯

…ということなのですが、お酒好きの方はこの程度の量で果たして満足するでしょうか?

筆者もお酒が好きなので実感したことがあるのですが、「これくらいだと酔った気がしない…」と思うのではないでしょうか?

この数値は、「日本人や欧米人を対象にした大規模な疫学研究から、アルコール消費量と総死亡率の関係を検討し、それを根拠に割り出されたもの」とあります。さらに、高齢者の場合や飲酒で顔が赤くなりやすい人は、アルコールの分解速度が低い傾向にありますので、この基準よりさらに少なくあるべきとしています。

飲酒が習慣化していくと、身体にアルコールへの耐性ができ、酔うために必要なアルコールの量が増えていくため、こうしたお酒の「適量」を守れていない方はかなり多いのではないでしょうか。

まずは飲酒のリスクを知るところから

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© auremar – Fotolia.com https://jp.fotolia.com/id/163292666

身体に悪いことは分かっていても、ついつい「適量」以上の飲酒を続けてしまう。健康を保ちながらお酒を楽しむためには、そうした飲酒習慣が将来どんなリスクをもたらすのかを知ることが第一歩になります。

お酒の飲み過ぎによって起こる病気の代表的なものは肝臓病です。「脂肪肝」、「アルコール性肝炎」と悪化していき、最終段階の「肝硬変」になると治療は困難になります。
他にも、すい臓疾患からくる糖尿病や循環器の疾患など、さまざまなリスクがあります。

肝臓が一度だめになると、元の身体には戻れない

ちょっと話が重くなりますが、具体的な例として筆者の父親の話をしたいと思います。
昔からお酒が好きで、20代から60代までほぼ毎日欠かさず晩酌をしていた父。現在は離れて暮らしているのですが、定年退職後も特に病気などなく元気に過ごしていると聞いて安心していました。

ところが、最近になって突然「肝硬変で入院していて、状態が良くない」と母から連絡がありました。
肝臓の機能が低下したことでお腹に大量の水がたまってスイカほどの大きさにふくれ上がり、仰向けに寝るのも辛いほどの痛みと苦しみが続き、「ほとんど一睡もできていない」との話を聞き、急きょ離れて暮らす家族一同が父の病室に集まる事態になりました。

検査の結果、原因はやはり長年のアルコール摂取によるものでした。
「肝硬変 腹水」といったキーワードで検索すると、家族が肝硬変になってしまった方の体験談がたくさん出てきます。大切な人が腹水によって苦しみ、やがて意識を失って死に至るまでのつらい話を読んで、筆者も一時は「もしもの事態」を覚悟しました。

幸い、父の状態はその後持ち直し、退院して自宅に帰ることができましたが、その1週間後にまた腹水がたまって入院。水を抜いて点滴や投薬をするなどの処置を繰り返す生活が一生続く見通しです。

肝硬変になってしまうと、失われた肝臓の機能を補うため、医療が欠かせなくなります。また、がんや他の臓器の疾患のリスクも高まります。一度肝臓がだめになると、元通りの身体に戻ることは不可能と考えてよいでしょう。

お酒を控えるように言っても聞かなかった父ですが、こうなる前に自分たちに何かできたのではないかと、後悔の気持ちでいっぱいです。
お酒を飲む本人も、周りの家族も、飲酒を続けることのリスクをきちんと理解しておくことが大切だと、ここで強調したいと思います。

決め手は「減酒」。前向きな効果を実感することが原動力に

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© blanche – Fotolia.com https://jp.fotolia.com/id/63835454

冒頭に紹介したお酒の「適量」を守ることに加え、「週に2日は休肝日を」という注意もよく聞きます。それは、肝臓の機能を定期的に回復させ、健康な状態を保つための基準なのです。

しかし、それは肝臓をはじめ身体に大きな問題がない場合の基準であって、健康診断などで肝臓の数値が引っかかるなど、肝臓に何らかの障害があることが分かったら、週に2日ではなく、根本的に飲酒量を減らす必要があります。

毎日お酒を飲む習慣を改め、お酒を飲む日や飲む量を減らして生活してみると、個人差はありますが1~2週間で身体にさまざまな変化が現れます。例えば…

・朝、寝起きが辛くなくなった
・以前より身体が軽くなったように感じる
・夕方~夜まで仕事をしていても疲れを感じにくい
・物事を前向きに考えられるようになった
・太っていた身体がスッキリしてきた
・顔のむくみが取れて、少し若返ったような印象に

さまざまな前向きな変化を体験すると、お酒を飲むこと以上の喜びや楽しみができ、良い循環が生まれてくる可能性が高まります。
お酒を急に断つのは難しくても、心身に起こる前向きな変化を励みにして「減酒」に取り組むことが、健康に末永くお酒を楽しむ決め手になるというわけです。

依存症になっていないか? チェックしましょう

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(出典:http://www.kurihama-med.jp/alcohol/kast.html

「今日こそ休肝日にするぞ!」と朝に決意しても、夜になると何かと理由をつけてお酒を飲んでしまう。
あるいは、お酒を飲まないで寝ようとするとソワソワしたりイライラした気持ちになり、家族が寝静まった時間にこっそりお酒を飲んでしまう…。

そんな風に、自分の飲酒を自分でコントロールができないでいる状態であれば、アルコール依存症の可能性を疑う必要があります。

現在では、自分がアルコール依存症になっていないかどうか、インターネット上でセルフチェックが利用できます。

その一つが、アルコール問題の研究・治療を行う久里浜医療センターが提供する「新久里浜式スクリーニングテスト」。質問に「はい」「いいえ」で応えていくだけで問題の有無をチェックできます。もし、「アルコール依存症の疑い群」との判定が出たら、アルコール依存症に対応する医療機関を受診しましょう。

自分で飲酒をコントロールできない状態では、そもそもの「減酒」が難しくなります。専門家への相談を通じてアルコール依存症とその対処法を正しく理解し、家族が連携して適切な対応をすることが大切になります。

「適量」を守れていても、定期的に検診を

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© polkadot – Fotolia.com https://jp.fotolia.com/id/114409084

さて、飲酒の習慣を改善したり、「適量」を守ってお酒を楽しめている方であっても、油断は禁物です。肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれていて、よほどのことがない限り音を上げないかわりに、症状が出た時にはすでに手遅れ…というケースが多いのです。定期的に健康診断や人間ドックを受診し、血液検査などで肝臓などに異常がないかチェックしましょう。

肝臓病やアルコール依存症のリスクを理解し、意思をもって飲酒量をコントロールすること、そして定期的な検査で自分の身体をチェックすることが、健康を保ちながらお酒を美味しく楽しむ秘訣です。いつまでも家族との幸せな日々を享受できるように、取り組んでいただければと願っています。

先生からのアドバイス

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